vincent driving to hunt for cacao marou chocolate

Hunting For Cacao

持続可能なカカオづくりの旅

カカオはどこから調達しているんですか?

創業当初からベトナムで育ったカカオを調達してチョコレートを作ってきました。

sam and vincent visiting a cacao farm marou chocolate

当時私たちが目にしたベトナムのカカオ産業は失敗に終わった状態でした。2000年ごろ、カカオを買い付ける大企業たちがコートジボワールやインドネシアなどへの依存を軽減する目的で、ベトナムのカカオを盛り上げようとしました。しかし彼らが思うような規模にはならなかったのです。けれど、私たちがカカオ農家と出会い彼らのカカオに惚れ込み、マルゥチョコレートをつくるにはもう十分な規模でした。

調達方法はエシカルですか?

マルゥのチョコレートに使うカカオを調達するのに人や環境に害がなかったどうか、ということならもちろん答えは「イエス」です。カカオがどのようにできるかについてはとても大切に考えていて、より良くできるように常にベストを尽くしています。

具体的にはどのような感じですか?

15〜20のカカオ農家とつながりがあり、彼らはカカオの発酵もしています。ティエンジャンに5, 6人、他5つの産地に各2, 3人います。

sam and vincent talking with cacao farmers marou chocolate

みんな長い付き合いで仲の良い人たちです。彼らの農場はカカオの実だけで成り立つほど大きくはありません。良い発酵のためには必要な最低量があるため、彼らは近隣からもカカオの実を購入していますが、発酵を担う人がその作業やカカオの品質の責任を負うので、その人たちが私たちのメインパートナーとなります。

発酵を行う農家から購入する際、彼らのカカオ豆に対してしっかりと報酬を支払います。そうすることで、その近隣の農家にもきちんと支払いがいくのです。彼らが支払わなければ(時々本当に起こるのですが)、近隣の農家はやりきれなくなりカカオではない他のものに乗り換えてしまいます。当然、それぞれの農家がどういった関係性を築くかを私たちがコントロールするのは難しいのですが、「利益を分けることが自分たちのためになる」、「カカオ豆に対する支払いが増えればカカオの実に対する支払いも増やすべきだ」と理解してもらえるよう私たちも努力しています。

もし明日、マルゥがベトナムのカカオ市場から消えたらどうなるでしょう?

ベトナムのカカオ市場は小さく、大きくは成長していません。むしろ縮小しています。その中で需要をつくり、カカオにきちんとした値段を支払っているので、マルゥが市場を引き上げていると思っています。もしマルゥがいなくなればカカオは完全に消えて無くなるとまでは言いませんが、きっと活気がなくなり、品質向上への思いもしぼんでしまうでしょう。逆にもしベトナムからカカオが消えてなくなってしまったら、私たちはすごく困りますね。

マルゥは農家と直接取引をしているとのことですが、皆が農家から作物を買っているのではないのですか?

商品を扱う業者は仲介業者に頼っています。私たちは仲介業者を通さないように尽力していて、そこには理由があります。そうすることで私たちがカカオの品質を農園で直接見て、フィードバックを行い、農家の収入を最大限にする方法を伝えることができます。その結果カカオの仕事が安定し、高品質のカカオをお願いし続けることができるんです。

mr lau in tien giang province marou chocolate

お金のことを伺ってもいいですか?

もちろんです。カカオにも国際市場の値段があります。今現在(2017年4月)、国際市場価格はとても低く、その値段でベトナムで買えるものはないのではと思うほどです。この半年でカカオの価値は3分の1近く落ちました。かつては1トン当たり3,000ドルだったのが、今は2,000ドルです(コートジボワールのカカオ評議会は、農家への支払いを1トン当たり750フランセーファ = 1,220アメリカドルまで下げました)。変に聞こえるかもしれませんが、市場価格が崩壊する中、私たちはカカオに対する支払いを増やすことにしたのです。市場価格に対する割合としてではなく、絶対値として。

なるほど、農家へはどれくらい支払っているのですか?

市場価格の約2倍です。品質が最も高いもので1トン当たり96,000ベトナムドル= 4,160アメリカドルで、アフリカの農家の3倍の価格です。

すごいですね。ベトナムのカカオ市場を操作しているということですか?

そこが何より大事なところなんです。現在の低い価格でカカオを育てるのはとても持続できるものではありません。特にベトナムのように農家が自分たちで選んだものを何でも育てられるようなところでは。私たちは他の誰もがやっていないやり方でベトナムのカカオの供給に頼っているので、持続可能であってもらう必要があるんですよね。持続可能で高品質な、本物のサプライチェーンに取り組んでいるんです。15〜20の農家の方と取り組んでいますが、皆さん暮らし向きは良いですよ。でも、彼らは1980年代にベトナムが土地の集産化をやめて、「この1区画はあなたのものです」と土地の再分配を行なったことによる恩恵を受けた世代なんですよね。かなり貧しいところから始めて、より豊かな暮らしを手に入れてきたと言って良いんじゃないでしょうか。

これからの展開について教えてください。

彼らの農園の広さは最適とは言えない、とても小さな区画なんです。ですので農家の引退が進み数が減るにつれて、おそらく多少の集中化が起こると思います。忍び寄る都市化によって農地が消えてしまうところも出てくるでしょう。メコンデルタでは特に現実感があります。ミトー市の農家は都市のど真ん中同然のところにありますし。

例えばゴムの木やコーヒーから転換した農園に、より大きいスケールでカカオを栽培する手段としてアグロフォレストリープロジェクト(カカオを植える取り組み)を検討しているのもそういった理由からです。

sam and vincent talking with farmer during a sourcing trip marou chocolate

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